右脳も左脳も単独で記憶できるし、脳半球間でコピーもできる

投稿者: | 2017年3月23日

 

(復習)脳梁が右脳と左脳をつなぐのでしたね

今回の内容をよりご理解いただくため、前回ご紹介したマイヤーズの実験(1956年)を簡単に復習しておきましょう。

左右の目から脳半球に情報を送る神経線維が交差する視交叉を前後に切って片目で課題のトレーニングします。

この処置により、例えば、左目でトレーニングすれば、左脳にしか情報はいきません。

マイヤーズの実験では、視交叉を前後に切って、左目でトレーニングした後、右目だけにしても迷わず課題ができるかどうかを調べました。

その結果、反対の目だけでも問題なく課題がこなせました。

反対の目では、トレーニングしている時に使ったのと反対側の脳を使うことになります。

反対側の脳にはトレーニング内容はないはずですから、脳梁が右脳と左脳を機能的につないでいると示されましたのでした。

 

片方の脳半球だけでトレーニングした内容は反対の脳半球にコピーされる

ということだったのですが、もう少し考えてみましょう。

マイヤーズの実験で、左目&左脳でトレーニングした後に、右目&右脳で課題ができたのはどうしてなのか。

一つに、トレーニングの過程で、課題の処理能力を獲得した左脳が、その内容を右脳にコピーしていたことが考えられます。

それから、トレーニングしていない右目&右脳がサボっていても、脳梁を介してトレーニングした左脳の学習内容をオンラインで参照することで課題が出来たとも考えられます。

つまり、トレーニング過程でその内容が別の脳半球にコピーされていたのではない可能性が残されています。

 

マンツはタコを使って、トレーニング過程でその内容が別の脳半球にコピーされるのかどうかを確かめる実験を行いました。

Muntz WRA (1961)
“Interocular transfer in octopus: Bilaterality of the engram”
J Comp Physiol Psychol 54: 192-195
doi: 10.1037/h0040366

マイヤーズのプロトコルを踏襲しているのですが、視交叉に相当する部分(交連線維)を切ってトレーニングした後に脳梁を切ることで別の脳半球の情報をオンライン参照できないようにしました。

実験の結果、タコはトレーニングをしていない目で、つまり、トレーニングをしていない脳半球だけで課題をこなすことが出来ました。

つまり、片方の脳半球だけでトレーニング(学習)しても、脳梁を介して反対の脳半球にトレーニング内容がコピーされているが分かったのです。

 

右脳も左脳も単独で判断や記憶ができる

マンツが論文を発表した翌年の1962年。

トレヴァートヘンはサルを使った実験の論文を発表しました。

視交叉と脳梁を切って、右脳と左脳の間で情報の連絡ができないようにすることで、それぞれの脳半球をトレーニングしたのですね。

そして、右脳と左脳がそれぞれ独立して同じように情報処理できることを示したのです。

Trevarthen CB (1962)
“Double visual learning in split-brain monkeys”
Science 136: 258-259.
doi: 10.1126/science.136.3512.258

 

以上の実験などから、右脳も左脳も同じように記憶して情報処理できることが分かっています。

ところで、ベストセラーとなった『右脳◯命』の「「無意識の心」の新たなる発見」というセクションには、以下の記述があります。

「左脳と右脳は別々に組織されているから、片方で記憶していることが他方の役に立たぬことは容易に想像できる。」

はい。この記述が微妙なことはもうお分かりですね。

脳のことはそう容易には想像できないようです。

ちなみに、『右脳◯命』の著者は、右脳を神聖視しているわけではなく、右脳と左脳のバランスが大事とも指摘していて、トンデモ本ではないこともコメントしておきます。

 

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では、また!

 

(了)

 

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