脳科学と心理学の違い

投稿者: | 2015年5月11日

 

「脳科学」という言葉は、ここ20年くらいでよく聞くようになりました。

では、心理学とはどのように違うのでしょうか?

世間では脳科学と心理学はそれほど区別せずに扱われることが多いようにも思います。

とりあえず、Wikipedia を見てみましょう。

【脳科学】ヒトを含む動物の脳と、それが生み出す機能について研究する学問分野である。

【心理学】人の心のはたらき、あるいは人や動物の行動を研究する学問のことである。

何だか大して違わないようにも見えますが、脳科学の方が脳自体の研究に近く、心理学では行動に現れた現象を扱うといった感じです。

 

脳科学とは

もちろん、ひと口に脳科学と言いましても、脳を構成する構成単位であるニューロン(神経細胞)の活動を調べるだけでなく、それらがたくさん集まった脳領域の研究や、ニューロンよりもっと小さな分子レベルの研究など多岐に渡ります。

心理学に近い範囲での差異としましては、脳科学では外界の刺激を受容したり、行動をしたり、判断したりする際に、脳のどの部分がどのように活動しているのかを調べる学問ということになります。

これは、脳がいろいろな領野に分かれていて、それぞれの領野が別々の機能をもっているという機能局在という考え方に立脚します。

脳科学では実験が精密で、動物をよく使う関係もあって、複雑なことは試しにくいものの、脳のどの部位がどんな機能に関わっているかがきっちりと分かります。

 

心理学とは

それに対して、心理学では脳のどこがどう活動しているのかは気にせず、行動や意思表示によって、脳を考える学問と言えるでしょう。

実際、脳のことに全く関心がない心理学者の方も少なからずおられるようです。まあ、脳活動に直結しなくても調べることはたくさんありますので、そのようなスタンスがあってもよいとは思います。

心理学では人で実験することが多いので、被験者に複雑な要求をしても理解してくれますので、いろいろと試すことができますし、被験者の数も多くできます。ただ、現象の原因を絞りにくかったりもします。

私としては、脳科学と心理学のいいとこ取りをして、統合的に考えて行くのがよいと思いますので、狭義の脳科学からは外れたようにも見える、心理系の話題もたくさん紹介していくつもりです。

 

ますます高まる脳科学の重要性

近年、脳波や fMRI など、脳の活動を計測する実験技術が急速に進歩し、頭蓋骨を開けなくても、脳のいろいろな領野がどのような機能に関わっているのかが分かるようになってきました。

より複雑な、より自然に近い条件での脳活動を調べることが可能になってきたのです。

つまり、経験的に知られていることや、心理実験で分かったことを裏打ちし、基本的な脳の機能としてきっちりと統一的に理解できる段階に入ってきており、脳科学の重要性は益々高くなると考えられます。

それだけに留まらず、脳科学の産業応用もすでに試みられています。

例えば、CMの印象を消費者の方にアンケートで答えてもらうとき、本当の気持ちを書いてくれるかどうかという不確定要素はどうしても付きまといますが、それを脳波で脳の活動を直接調べることに
よって、言語化されない、素直な脳の反応をみるという方法が実際に取られています。

このように、脳の活動を調べてマーケティングに活かそうという手法をニューロマーケティングと言います。

脳科学というと、難しそうで取っ付きにくい印象もあるかもしれませんが、重要度がどんどん増していくことがほぼ間違いありませんので、ビジネスに具体的に活かせるよう、一緒に勉強して行けたらと思っております。

 

(了)

 

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