計画倒れは自分と向き合うことで解決!

投稿者: | 2015年7月15日

 

計画倒れは仕方ないこと?

「計画は、破られるためにある」

これって、誰かの格言でしたっけ?

ま、それはいいとして、物事、なかなか計画通りに行かないものですよね。

計画倒れといっても、その要因はいろいろ考えられます。

 

今回は「時間」に着目してみましょう。

午前中に終えるはずだった案件が片付かず、午後まで食い込んでしまった。

1週間あれば余裕で出来ると思っていたのに、2週間もかかってしまった。

なんてこと、よくありますよね?

 

学生にプレゼンをさせると、練習していても多くが時間オーバーします。

学生ばかりではなく、学生を指導する立場の教員ですら学会などで時間オーバーするのは日常茶飯事。

準備した発表ですらこの始末。。

 

どうやら、ヒトはそもそも自身の未来を楽観視する傾向があるようです。

『ファスト&スロー あなたの意思はどのように決まるか?』の著者でノーベル経済学賞を受賞したカーネマンらは、1979年の論文で、この傾向を「planning fallacy」と名付けました。

Kahneman & Tverski (1979)
Intuitive prediction: Biases and corrective procedures. TIMS Studies in Management Sciences 12: 313-327.

日本語に直訳すれば、「計画誤謬」になりますかね。

要は、計画倒れのことです。

甘い予測になってしまうのは、避けられないことなのでしょうか?

いえいえ。

仕方がないと諦めるのは、まだ早いです。

 

計画倒れに関する心理実験

1994年に発表された、計画倒れについて調べた論文にヒントがあります。

カナダの心理学者 Buehler らは、大学生に参加してもらった5つの心理実験で、いろいろな作業にかかる期間を予測してもらって、実際にはどれくらいの期間がかかったか、どのように考えて予測したかを分析しました。

心理学を専攻する大学生に、何日後に論文を書き上げて提出できるか?と聞いたところ、実際には平均で2倍近くの期間がかかり、悲観的に予測してもらったのよりもさらに長かったのです。

 

どうして、こうなってしまったのでしょう。

被験者である大学生への聞き取り調査で、過去の経験について楽観的な判断材料しか考慮していないことが分かりました。

では、過去の経験を思い出しさえすればよいのでしょうか?

そう単純な話でもなさそうです。

 

どれくらい時間がかかるかを予測するに当たって、過去に似た事例を「単に思い出して」もらっただけでは、甘い予測に終わってしまいました。

しかし、過去に似た事例を思い出してもらった上で、それを「今の事例に当てはめて」具体的にイメージして検討するように依頼したところ、作業にかかる期間をかなり正確に予測できたのです。

 

また、別の実験で、「他者」が作業にかかる期間を予測してもらったところ、想定されるトラブルを考慮に入れて、作業期間を的確に推測できることも分かりました。

他者のこととなると、冷静に考えられるのですね。。

 

計画倒れを防ぐコツ

実験で、自分のことは異様なまでに楽観的であることが確かめられ、また、どうすれば計画倒れを防げるかというヒントも得られました。

1)過去の事例で直面したトラブルを思い出し、それを当該の事例にあてはめて、どんなトラブルが起こるかを推測する。

2)他人がやったらどうなるかをシミュレーションしてみる。

特に1)は、自分のこと、つまり、自分の立場、境遇、環境、仕事内容にカスタマイズした方法ですので、かなり効果が期待できます。

自分の行動を記録しておく、ログをとっておく習慣を付けておくと、この方法を具体化するのによいですね。

 

【参考論文】

Buehler R, et al. (1994)
“Exploring the “Planning Fallacy”: Why people underestimate their task completion times”
Journal of Personality and Social Psychology 67(3): 366-381.

 

(了)

 

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