断捨離で脳もすっきりと

投稿者: | 2015年9月3日

 

損失回避はとても普遍的な心理です。

要は、持っている物は手放し難いということ。

捨てられないわけです。

まず、カーネマンの実験とクネッチの実験で、損失回避を簡単におさえておきましょう。

そして、断捨離が脳にもよいことを考えてみます。

 

カーネマンの「マグカップ実験」

カーネマンの「マグカップ実験」も損失回避の例としてよく知られています。

被験者に、あるマグカップを見せていくらだったら買うかを聞いてみました。

すると、平均で 2.87ドルでした。

今度はそのマグカップを被験者にあげて、それを他人に売るとしたらいくらにするかを聞きました。

いくらだったと思いますか?

平均で 7.12ドルと答えたのです。

買うと言った値段の倍以上ですよ。

儲けたい気持ちもあるでしょうが、基本的な心理として、自分の物を失うのがもったいないという
損失回避がはたらいたと考えられます。

Daniel Kahneman, et al. (1990)
“Experimental tests of the endowment effect and the coase theorem”
Journal of Political Economy 98: 1325-1348.

 

クネッチの実験

もう一つは、クネッチ(Jack L Knetsch)の実験です。

アンケートに答えると商品がもらえることになっていて、その商品を学生の前に置いておきます。

あるクラスでは、マグカップを商品にしていたのですが、アンケートが終わったときに、
それをチョコレートに変えてもよいと提案します。

その結果、76人中 68人(89%)が交換しませんでした。

別のクラスでは、先ほどのクラスと商品を入れ替えて、まず、チョコレートを見せておきます。

そして、後でマグカップに変えてもよいと提案。

このクラスも、87人中 78人(90%)が交換しませんでした。

ちなみに、商品はどちらでも選んでよいとしたら、マグカップが56%、チョコレートが44%と
ほぼ互角でした。

つまり、もらえると思っていた物を手放すのは難しいという、損失回避の心理がはたらいたのですね。

Jack L. Knetsch (1989)
“The endowment effect and evidence of nonreversible indifference curves”
The American Economic Review 79(5) 1277-1284.

 

断捨離で脳もすっきりと

このように、損失回避は、本当に普遍的に見られる心理なのですね。

持っているものを手放し難い。

あまり着なくなった服でもまたいつか着るかもしれないとか、しばらく使わなくなった物でも
また使うことがあるかもと、結局捨てられずにどんどん「財産」が増え続けていませんか?

「財産」は脳の片隅も占めますから、「財産」が増えると脳の容量も食います。

断捨離してスッキリするのは、同時に脳も断捨離できているからと考えられます。

ヒトは、そもそも捨てられないものなのだと認識して、積極的に断捨離をすることで
脳もスッキリさせて、ビジネスに集中できる脳環境を作りましょう。

 

(了)

 

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

 

武永隆の脳ブログ「類人猿分類でコミュニケーションをステップアップ」

武永隆の脳ブログ「対人関係改善に、岡田斗司夫の4タイプ分類」

武永隆の脳ブログ「脳と腰痛の意外な関係」

武永隆の脳ブログ「フェデラーに学ぶ雰囲気作り」

武永隆の脳ブログ「イルカは音を「見て」いる」

武永隆の脳ブログ「計画倒れは自分と向き合うことで解決!」

武永隆の脳ブログ「お肉とウォーキングで、すっきり気分!」

武永隆の脳ブログ「笑顔は信頼の証しでもある」

武永隆の脳ブログ「危機的状況はスローモーション?」

 

無料メルマガ 武永隆の【1分脳コラム】
ご登録はこちら ↓↓↓↓↓
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=businesscom

 

ブログランキングに参加しています!
にほんブログ村 科学ブログ 脳科学へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

脳科学 ブログランキングへ