『アメリカ人は気軽に精神科医に行く』を読む

投稿者: | 2016年8月25日

 

心の病とストレス

労働安全衛生法の改正で、2015年12月1日から、労働者のストレスチェックの実施が義務化されました。

厚労省によると、罰則もあるそうです。

「労働基準監督署への報告は労働安全衛生法第100条に基づくものであり、違反の場合には罰則があります。50 人未満の事業場については、報告義務はありません。」

「こころの耳」by 厚労省

 

 仕事でのストレスから自殺する大人

 学校でのストレスから自殺する子ども

 児童虐待

 諸々の犯罪

 

これらには、心の病が大きく関わっています。

しかし、日本では、この心の病がタブー視される傾向にあります。

以前のメルマガでも少し書きましたね。

武永隆の【1分脳コラム】 vol.59 「人間関係の悩みには精神科の勉強も役立つ」(2015/10/9)

 

今回は、そのメルマガの中でほぼ書名の紹介にとどまっていた本を改めてご紹介します。

表西恵『アメリカ人は気軽に精神科医に行く』

 

心の病に対する日米の違い

この本のタイトル『アメリカ人は気軽に精神科医に行く』は、翻って日本では気軽に行けず、寛容でないということを意味しています。

例えば、著者の表西先生がアメリカの大学で心理学の講義を受けていたときの出来事。

教授が学生たちに尋ねました。

「この中で、うつ病のようになって、精神科やカウンセラーを訪れた経験がある人は手を挙げて」

すると、約40人の学生で、表西先生以外のほとんどの学生が手を挙げたとのこと。

ちょっと多い気がしないでもないですが、まず、精神科やカウンセリングに行くのに、自分の中のハードルが低いのですね。

日本でこうならないのは、日本伝統の恥の文化や我慢強さが影響しているのでしょう。

 

それから、周囲の理解だけでなく、寛容さも挙げられます。

日本ではあまりプライバシーが重視されず、根掘り葉掘り聞かれそうですが、アメリカではそのようなことはないのだとか。

このプライバシーについては、職場環境での例も書かれています。

日本では、オープンなスペースが多く、上司が部下を見渡せる感じ。

一方、アメリカでは、ほとんどの企業で個々人がパーティションで区切られていて、プライベート空間が確保されているそうです。

 

心の病をタブー視しない世の中へ

表西恵先生の『アメリカ人は気軽に精神科医に行く』には、

 性的いたずらへの対応の日米での違い

 仕事でアメリカに渡った人やその家族の苦労

 心の病のシグナルと対処法

 子どものストレスを減らす方法

などなど、サイコロジスト(日本の臨床心理士を格上げしたような国家資格)として経験された具体的な事例がたくさん書かれていて、とても参考になります。

心の病はとても身近で大事な問題です。

しんどくなったら誰かに相談する。

しんどそうな人を見かけたら声をかける。

そして、必要とあらば医療機関も受診する。

心の病をタブー視したり、放置せず本人だけでなく、周囲の理解も進めていくことで生活に支障がでるほどのストレスは減り、救える命も増えるはずです。

ぜひ、ご一読をお勧めします。

表西恵『アメリカ人は気軽に精神科医に行く』

 

脳科学でビジネスライフを快適に!

では、また!

 

(了)

 

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