脳への関心はまだまだ高いようです。
でも、疑似科学だらけの単なる脳ブームに終わってほしくないところ。
日本人はブームを形成しやすいですが、脳ブームの背後には多面的な脳への関心があるように思います。
健康面、娯楽面、教育面の3つの側面から簡単にみてみましょう。
健康面からの脳への関心
日本では高齢者人口が急増しており、認知症も他人事ではありません。
身近な親族や自分自身に起こりうる危機感から、脳のことが気になるのは自然の流れと言えます。
認知症までいかずとも、最近物忘れがひどくなってきたので予防のために脳トレをしようとか。
また、かつて死因の第1位だった脳梗塞や脳出血といった脳血管疾患は、現在では4位と順位は下げたものの、やはり自分も罹るかもしれないという不安はつきまといます。
このように、脳の健康面での関心から脳科学に興味が湧くのも宜なるかな。
娯楽面からの脳への関心
アナタは右脳人間?それとも左脳人間? みたいな診断が人気のようです。
確かに、右脳と左脳の機能的な差についての研究もありますし、多少の差はあるようです。
・左脳は、論理的・合理的な情報処理にやや優位に関わる。
・右脳は、直感的・感情的な情報処理にやや優位に関わる。
というのが研究者の間での理解かと。
ですから、少し差がありそうだというだけで、論理的な判断は左脳が主とか、直感的な処理は右脳が主ということはありません。
で、診断方法がまた滑稽で、例えば、回転シルエットが使われたりするようです。
(ご参考)
NAVER まとめ 「あなたは右脳派・左脳派?見える色も違う?人間の脳の不思議がすごい」
回転シルエットが時計回りに見えたら右脳派で、反時計回りなら左脳派なのだそうな(笑)
右脳/左脳の違いとは全く関係ない疑似科学です。
右脳人間とか言うこと自体、A型は几帳面、B型は自己主張が強い、O型は大雑把とかいう血液型占いと同列の疑似科学に過ぎません。
日本人は血液型占いのようなものを好む傾向にあるようです。
自分で判断することなく、どこかから持ってきた判断基準に照らし合わせてしまう傾向が根底にあるように思います。
ということで、右脳を鍛えて想像力を伸ばしましょう!と真面目な顔で力説する人は信用しない方が無難です。
情報収集が表面的なレベルで終わっている可能性が高いです。
血液型占いくらいに思っておきましょう。
脳には他にもっと面白いことがありますから。
教育面からの「脳への関心」
就職難と言われるこの時代、せめて子どもには少しでも偏差値の良い大学に行かせたいと思う親は少なくないでしょう。
脳に良いと言われる食べ物を子どもに与えたいとか、効率的に暗記できる脳科学的な方法を知りたいと思うのも親心というもの。
受験勉強にほとんどの時間を費やして、細かい事柄をたくさん暗記するのが良いことなのかどうか、という話は、ここでは置いといて。。
最近、とある塾の「脳科学」を謳った宣伝を目にしました。
私(武永)も子を持つ親、、ということでその塾の説明会?に足を運んで潜入取材(笑)したことがあります。
周りのお母様方は熱心にメモを取っておられて、圧倒されました。
登壇されたのは、テレビにも出られている「脳科学者」。
ある番組で話しておられるのを見た限りでは、脳科学のトレーニングをまともに受けたようにはとても。。
脳の専門家が見れば一目瞭然で、私(武永)だけの印象ではないはずです。
その講演をお聞きする前は怪しい話題の連発かと思っていましたが、果たして、実際にはそうでもなかったので安心しました。
ただ、脳科学の知識は間違ってはいないものの、専門用語をそのまま使って、しかも情報量多く話されていたので、一般の方にはかなり難しかったのではないかと思います。
専門的な内容をわかりやすく説明するのは難しいです。
私(武永)も気を抜くと専門的な内容になってしまいます。
気を抜いても難しいことが書けると自慢しているわけではありません。
噛み砕いて説明するのは、本当に難しいことなのです。
専門用語はその背景にいろいろな考え方や条件が含まれていますから、専門家同士では共通認識として持っていて、いちいち説明する必要がなく、とても楽にコミュニケーションが取れます。
ところが、一般の方にお話しするときには、予備知識がほとんどないとして、普段使い慣れた専門用語を封印して表現しないといけません。
で、先の塾の謳い文句ですが、脳の話には絡めてはいるものの、脳科学的を応用したと言うにはほど遠い印象でした。
脳科学を勉強に応用しようとする学術的な動きも確かにありますが、これをしたら一挙に解決!なんてことはありません。
それから、有名な疑似科学に、脳に大事なことは3歳までにやっておかないといけないという「3歳児神話」なるものもありますね。
教育熱心な親御さんがそれにつられて、焦って子どもにいろいろやらせてしまったり、子どもとのスキンシップに自分を縛りつけてしまったりする弊害が散見されます。
これもよく知られた疑似科学です。
このように教育も関心の高い分野で、ブームの原動力になりやすいからこそ、疑似科学を排除しなければいけません。
ここまで、健康面、娯楽面、教育面の3つの側面から、脳ブームの背後にある脳への関心をみてきました。
脳科学の研究でいろいろなことが分かってきているのも事実です。
疑似科学に踊らされないよう、正しい情報源を見極め、脳の基本的な勉強もしていただけたらと思います。
脳科学でビジネスライフを快適に!
では、また!
(了)
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