脳を辞書に見立てたコミュニケーションを

投稿者: | 2015年4月30日

 

脳のコンピュータの違い

コンピュータの処理能力は加速度的に速くなっていて、人間の仕事がどんどん奪われているとも言われます。

コンピュータと人間の情報処理はどのように違うのでしょうか?

コンピュータの動作原理はノイマン型と言われ、CPUというプロセッサとメモリから構成されて、メモリにデータとプログラムを書き込み、プロセッサが順序立てて必要に応じて読み出して処理するようになっています。

ちなみに、ノイマンというのは20世紀前半に活躍した数学者/物理学者で、いろいろな分野に多大な影響を与えた天才です。

一方、ヒトはどう考えているでしょうか?

脳は、860億個ものニューロン(神経細胞)が複雑に繋ぎ合わされた塊で、ニューロン同士のつなぎ目をシナプスと言います。

新しいことを覚えるときに、脳の中では、関係するニューロンのシナプスが強化されて、情報がスムーズに伝わるようになり、情報がよく伝わる回路が新たに出来ていきます。

新しいことを知るというのは、脳の中で既に知っているいくつかのことが新たに結びつけられるだけで、新しいことがすっぽり入ることではありません。

コンピュータはプログラムに従って処理しますが、脳は経験に応じてプログラムを作り込んでいく感じです。

コンピュータに情報処理をさせようとすると、入力に対してプログラムで計算された答えが返されるイメージですが、脳の場合は最初から答えが脳の中にあって、それを探すだけなのです。

脳は、コンピュータのようなプロセッサという処理専門の装置がなくて、メモリで全て処理しているので、メモリベースアーキテクチャとか、非ノイマン型と呼ばれます。

 

脳は個々人でカスタマイズされている

普段生活している環境で支障のないようにプログラミングされますので、普段、違和感を感じることはほとんどないのですが、実際は脳にはかなり強いクセがあります。

例えば、視覚では、目から入るのは平面的で奥行きのない情報ですが、それから自動的に立体感を出すようにカスタマイズされています。

ミュラー・リヤー錯視のような錯覚は、それが裏目に出たものを楽しんでいます。

Wikipedia の錯視のページなどにいろいろありますのでお楽しみいただけたらと思います。

http://ja.wikipedia.org/wiki/錯視

脳のデータやプログラムは生活環境に依存するわけですから、このカスタマイズは視覚に限らず、記憶や考え方にも大きく影響しますので個人差も大きいです。

人はそれぞれ生活環境や経験が異なりますので、人によってよく触れることはしっかり記憶されていて、記憶から引き出しやすいようになっています。

 

カスタマイズされた顧客の「辞書」を推測する

脳が記憶に依存しているということは、喩えるなら、脳というのは辞書のようなもので、しかも、人それぞれ、載っている言葉が違っていたり、同じ言葉でも意味が違ったりする独自の辞書と言えます。

ですから、知識は脳に無造作に放り込むのではなく、整理して、記憶にある他のことと関連づけて覚えないといけないのですね。

もちろん、多くの人にとって生活環境や経験に共通点があるように、脳のデータやプログラムにも共通点はあります。

顧客に説明する際、専門用語や業界語は使わず、日常的な分かりやすい言葉を使うのは、多くの人に共通な記憶と結びつけてもらうためなのです。

営業成績のよい方というのは、顧客の脳をそれぞれにカスタマイズされた辞書と見立てて推測しながら、顧客の求めるモノをいかに引き出すかを考えながらコミュニケーションをとっているわけです。

 

(了)

 

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